狼牙志士隊の日誌

イズレーン皇国所属・狼牙志士隊の日誌

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ウォルフガルドの過去

爺様の過去も気になる、というような事を
リンク先のコメントでチラリと見かけたので…!

結構前からあった設定ですが、SSにしてみました(゚д゚)
セルヴィスと同程度には重い過去かと…っ





今でも時折、夢に見る。
かつて共に酒を飲み、将来について語り合った、
唯一無二の親友を。


【ウォルフガルドの過去】


親友…ブルックスと儂は、よく正反対だと言われた。
にも関わらず、不思議と馬が合った。

剣に没頭し、日々鍛錬のみに励み、それ以外の娯楽には
一切興味がなかった儂を、女好きで派手で、訓練を
時折サボったりもするブルックスは、よく飲みに誘ってきた。

最初は鬱陶しかったが、いつだったか、普段サボってばかりの
ブルックスが、夜中に1人で鍛錬をしているのを見て以来、
認識が変わった。

何故訓練をサボるのかと、尋ねた事がある。
するとブルックスは笑って、

『だって、真剣にやってるとこ見られるの、恥ずかしいじゃねぇか。
 俺はお前と違って、才能があるわけじゃねぇしさ。
 いつかお前と肩並べられるくらい強くなって、訓練でお前を負かして、
 女の子にキャーキャー言われるんだ、俺は!』

などと抜かすものだから、儂も思わず笑ってしまったのを覚えている。

若い頃の儂は…自分で言うのも変な気分だが、それなりに人気があった。
士官候補生であった頃より、戦場に召集される事も多かったし、
時には部隊の長を任されることもあった。

セフィドの剣姫に敗れるまでは、負け知らずの将として知られていた。

他の者は儂を遠巻きに見たが、ブルックスだけは、儂を
対等な友人として接してくれた。
それが、とても有難かった。

数年の歳月が流れ、儂はイズレーン皇国の将に…
そしてブルックスは、儂が将として選抜されたのと同時期に、
セフィドに帰る事となった。

照れくさそうに、奴は語った。

『実はさ、セフィドの子と結婚する事になったんだ。
 今後はあっちで…自警団の仕事しながら、パン屋でもやるつもりだ。
 良かったらパン買いに来てくれよ、ウォルフ。
 腐れ縁の誼だ、ほんのちょびっとだけなら、オマケしてやるぜ』

その日の晩は、独身生活最後だからと、2人で朝方まで
飲み明かした。
別れが惜しくはあったが、きな臭くなりつつあった昨今、
友が軍を退き、安全で幸せに暮らせるのなら、それは
喜ばしい事だと、素直にそう思った。





それから二十年ほど。
儂は、各地を転々とした。
国家間の小競り合いが続き、気が付けば儂は百を超える
戦場に立ち、そのほとんどの地で勝利を収めてきた。

そして…百二十度目の戦場。
儂は、剣姫以外に初めて、手強いと感じる相手に遭遇した。

全身を甲冑に覆っており、こちらの攻撃は思うように通らない。
太刀筋も鋭く、荒削りながら将来には強敵となるであろうと感じさせる、
そんな相手。

加減など出来ようはずもなく…儂は、その騎士の胸を、剣で貫いた。
即死であったろう。

冥福を祈ろうと、その兜を外した時に…愕然とした。

「…ブレイド…」

そう。儂はその騎士に見覚えがあった。
見覚えがあった、どころではない。


この子が産まれた時には公務を休み、花束を手にセフィドに向かった。

ウォルフのおじちゃん、と懐いてくる幼き日の姿は、今も瞬時に思い出せる。

剣の稽古をつけてやった時、なかなか勝てないと泣かれた時には、
心底焦ったものだ。
『うちの子を泣かせやがったな』と笑いながら文句を言う…
ブルックスの声も、覚えている。


…ブルックスと、今は亡き彼の妻との間に出来た、唯一の子。
それが、眼下で変わり果てた姿になっている、ブレイドだ。


儂が、殺したのだ。





その遺体を、儂は出来る限り丁重に扱い…セフィド軍の者に託した。

これは戦。甘い感情を抱いていては、儂が殺される。
頭では理解していても、心が追いつかない。

儂が戦場に出るのを躊躇うようになって、数ヶ月。
儂のもとに、一通の手紙が届いた。

…ブルックスからだった。

『四日後の深夜。誓いの木の下にて、貴殿を待つ』

それだけ書かれていた。
…儂は覚悟を決め…武具を念入りに手入れし、
四日後に備えた。





そして、四日後。
儂とブルックスとが、二十数年前に、『共に世界に名を轟かせる将に』と
誓い合った木の下に、儂は赴いた。


そこでは、数年前に会った時と比べ白髪が増え…しかし、眼光の鋭さを増した
ブルックスが、待ち構えていた。


『よぅ、ウォルフ』


普段と変わらぬ様子で、ブルックスは儂に手を振る。
が…儂は、どう反応すれば良いか、分からなかった。


『…そんな顔すんなよ。あれは戦だ。戦になれば、相手がたとえ
 顔見知りであろうと、油断は禁物。それが当然だろ?』


てっきり恨み言を言われ、罵られるだろうと思っていた儂は…
戸惑う事しか出来なかった。
上手く言葉を返せない儂に、ブルックスは笑ってみせた。


『…確かに、ブレイドを…失った時は、辛かった。
 けどな。他の奴じゃなく、お前の手にかかったのなら…
 百戦百勝・ウォルフガルドの手にかかって逝けたのなら。
 アイツも本望だったろうさ。…けど』


そこまで言って、ブルックスはスッと真顔になり…剣を抜いた。


『今のお前みたいな腑抜けにやられたとあっちゃ、
 アイツの魂が報われねぇ。お前が…ブレイドの魂を侮辱するって
 言うんなら、俺がお前を殺すぜ』


そう言って、グッと間合いを詰め、ブルックスは剣を振るう。
…長年のブランクがあるのだろう、学生時代、儂に並ぶのも時間の問題と
称された剣は、すっかり衰えてしまっていた。

それを躱しながら、儂も剣を抜く。

「ブルックス…俺は…!」

『問答無用だ!お前の願い…お前の正義…世界に平和をもたらすための戦い、ってのは、
 人1人の死で立ち止まっちまうほど、安いもんだったのかよ!
 そんな安っぽい正義のために殺されたんじゃ、ブレイドが報われねぇんだ!』


ブルックスの剣を捌き、躱し…どうにか、この戦いを回避できないかと
考えていた、その矢先。
ブルックスの剣が突然鋭さを増し、儂の顔に切り傷をつけた。


…数多の戦いを経て、体に染み付いてしまった、反射。
相手を強敵と感じた儂の体は、意思とは無関係に剣を振るい…
ブルックスの体に、死に至るには十分な傷を、刻んでいた。


「ブルックス!!」

儂は咄嗟に剣を放り捨て、倒れこむ我が友の体を支える。

「ブルックス…貴様、寸前まで、手を…」

『…へへ…やれば、出来るじゃねぇか…ウォルフ…』

息をするのも苦しいであろうに、ニヤリと笑って、
ブルックスが言う。
手当てをしようとする儂を片手で制し、続けた。

『…これで、いいんだ…。俺もブレイドも、英雄ウォルフガルドの手で、逝ける…。
 あの世で、自慢になるぜ…へへ…』

「バカな事を…。死なせはせぬ、死なせはせぬぞ…」

『…なぁ、ウォルフ。俺もブレイドも…礎に、なりてぇんだ。
 お前が夢見た、平和な世界の…。だからよ…俺達の死で、
 歩みを止めるなんて事…しちゃ、いけねぇよ…。
 …それに…よ。死んだらまた…アイーナに会えるんだ…。
 そう思えば…死ぬのも、悪くねぇ』

儂の言葉など無視して、言いたい事ばかり言う。
ああ…思えばこいつは、昔から、出会った頃から、そうであった。

『…先にあっちで、待ってるからよ…。
 お前もあっちに来たら…また、皆で一緒に飲もうや…。
 …アイーナからビンタされるのくらいは、覚悟しとけよ…はは…』

掠れた声で、笑って。

その口から、大量の血を吐いて。

…そうして、儂の唯一の友、ブルックスは…逝った。

残された儂は…己の為した事と、失ったものの大きさに、
意味を為さぬ叫び声をあげるしか出来なかった。





その後、儂は…軍を退いた。
これ以上戦える、自信がなかったのだ。

友の遺言に反する事を、申し訳なくは思ったが…
剣を握るのが、恐ろしくなってしまった。


それは逃げに過ぎぬと、小僧から一喝されるまでの、二十年。
無為に過ごしてきたが…今は、違う。


殺すためではなく、守るため。

新しく出来た、若い仲間を。

より大きくなった戦乱に、嘆き苦しむ民を。

そして…友との誓いを。


…あとどれくらいすれば、そちらに逝くかは分からぬが。
その時にアイーナ殿だけでなく、お前達から殴られては敵わぬ。
…お前達の死を…無駄にしないためにも。

儂はこれからも、守り続けようと思う。

「…見守っていてくれ、ブルックス」

そう呟いて、儂は亡き友の墓に、奴が好きだった酒をかけてやる。

『随分老けたな、ウォルフ』

などと言う軽口が、空の上から聞こえたような、そんな気がした。
スポンサーサイト

Comment

 

爺様・゚・(ノД`;)・゚・
友の死を乗り越え今の護る剣があるのだなあ…

…そういえば爺様は結婚とかしてなかったんだろうか
  • posted by 皇帝 
  • URL 
  • 2013.01/27 17:18分 
  • [Edit]
  • [Res]

 

皇帝殿>
思えば爺様にスポットライトを当てたのは
再会以来です…(´・ω・`)

親友のただ1人の息子、そして親友と、2人を殺めた爺様。
未だそれはトラウマですが、少しずつ前には進んでおります…!

爺様はちなみに独身です。お見合いやらはしてたのですが、
堅物だったのですよ…(`・ω・´)
  • posted by 侍 
  • URL 
  • 2013.01/27 17:39分 
  • [Edit]
  • [Res]

 

<●><●>気になると言った張本人が通ります

戦いとは残酷なものですぅ……。
命の重さというものを、爺様が一番よく理解しておられるのでしょう……。

リクエストにお応え頂いてありがとうございました!(ぺこり)
  • posted by X 
  • URL 
  • 2013.01/27 21:55分 
  • [Edit]
  • [Res]

 

X殿>
ふふふーリクエスト有難うなのです(´ω`*)

最近ラブコメメインだったので、たまには
シリアス爺様も出さねば!と思っていたのです(´∀`)

もうちょっと文章が上手ければ…と悔やんでも
悔やみきれない出来ですが(´・ω・`)
  • posted by 侍 
  • URL 
  • 2013.01/27 22:12分 
  • [Edit]
  • [Res]

 

お爺様…ッ!そしてブルックスさん…!!
家族ネタは涙腺にもろ来ます~…辛い。

物語を知ると、その人物をもっと好きになりますね
お爺様大好き!
  • posted by のら 
  • URL 
  • 2013.01/29 22:46分 
  • [Edit]
  • [Res]

 

のら殿>
ふふふ…実はこれには更なる隠し設定があります。
但し、爺様視点で、爺様が知らない事なので
語っていないのです…(゚д゚)

爺様はうちも大好きなのですよ!
今も顧問として我が家で頑張っております!
サブキャラ追加が永続サービスなら…!買うのに!(つд・)
  • posted by 侍 
  • URL 
  • 2013.01/29 22:58分 
  • [Edit]
  • [Res]

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

ご案内

プロフィール

狼厳

Author:狼厳
狼牙志士隊筆頭

最新記事

くろックCute BC01

カレンダー

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。