狼牙志士隊の日誌

イズレーン皇国所属・狼牙志士隊の日誌

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暗殺者?2

謎の女の初めての襲撃から、早二ヶ月。
襲撃開始当初は狼厳の身を心配していた
楼華とウォルフガルドだったが、最近では
さほど心配していなかった。

今まで五度襲撃があったが、狼厳が傷を負った事もなかったし、
何より相手の事を語る狼厳が何処か楽しそうだったため、
実力にそれなりの開きがあり、相手が悪人ではないと察しからだ。

その日も狼厳は、自宅に届いた果たし状を握り締めて
六度目の襲撃を受けに、指定された場所に向かった。

…果たし状が届いている時点で、最早暗殺ではなく、
襲撃ですらないのだが。



前日の暗殺者?の続編。第3部まで書く予定!(゚д゚)
やや長文です…(´・ω・)



『…来たか、狼厳』

指定されたのは、最初に襲撃を受けた場所である。
狼厳がついた時には既に女はそこに待ち構えていた。

「…懲りぬな、お前も。今のお前では俺には勝てぬ。
 そう何度も言ったはずだが?」

『…黙れ。私はもう、後には引けぬのだ』

それだけ言うと、後は問答無用と言わんばかりに
女は二本の剣を抜き、構えた。
…今までと、何処か違う。
構えに硬さがある。

『…構えろ。今日こそ、貴様を殺す…!』

その違和感に気付きながらも、狼厳は刀を構えた。

「…良いだろう。稽古をつけてやる。来い、女!」





『…くっ…!』

今回は、思いのほか早いうちから、女は劣勢に回った。
狼厳が感じた硬さが、女の普段の動きのキレを奪っていた。

「…その様で俺を殺そうなど、笑わせるな!」

一方の狼厳も、女の状態に苛立ちを感じていた。
彼女の実力はこんなものではない。そう知っているからこそ、
彼女のこの有様が腹立たしかった。
鍔迫り合いの状態から女を突き飛ばすと、女は体勢をくずし、
膝を地についた。体力も限界が近いのだろう。

『…黙れ…!』

女が体勢を立て直そうとした、その瞬間。
女の背後にある木の隙間で、ギラリと何かが光ったのを、狼厳は見た。

カタカタ、と反応する甲冑。
反射的に狼厳は駆け出し、先程の木と女の間に入った。

「…ぐぅっ…!」

直後、左足に鋭い痛みが走る。
太股に深々と突き刺さったナイフ。
そのままであれば、恐らく女の頭部を貫いていたであろう。

『なっ…!?狼厳!?』

予測もしない事態に、女は少し間の抜けた声をあげる。
それが少しおかしくて、このような事態にも関わらず狼厳は
小さく笑ってしまう。
が、すぐに気を引き締めてナイフが飛んできた方角を見据えた。

『…敵を庇う甘ちゃん、か。今日の仕事は随分と簡単に終わりそうだ』

もはや隠れる必要すらないと判断したのか、1人の男が木から
身軽に飛び降りた。
均整の取れた、無駄のない鍛え方をされた体。
そして、害意を察知する能力を持つ甲冑に存在を気取らせぬ、気配の消し方。
何より…あの離れた位置から、女の頭部を正確に狙って投げられたナイフ。
かなりの使い手である事は、容易に想像できた。

(…まずいな。今の状態でやり合うのは辛いぞ…)

足に刺さっているナイフの形状と、男の装備を見る限り、
恐らく相手は投げナイフの使い手だろう。
ろくに動けない状態では、嬲り殺しにされるのが目に見えている。

『さて…狼牙志士隊の狼厳といえば、それなりの首だ。
 有難く頂戴してやるからな…』

男はそう言うと、ピッとナイフを投げた。
狼厳が弾き落とそうと刀を構える、それよりも早く…
深紅の鎧が、狼厳の視界を遮った。

『…ふ…っ!』

キィン、と甲高い音がしてナイフが弾き飛ばされる。

『…何の真似だ、セルヴィス=ラーズバード?』

女…セルヴィスは、狼厳を庇うように前に立つと、
二本の剣を体の前に交差させ、防御の姿勢を取る。
その構えには、先程狼厳と戦っていた時の硬さが見られない。

『…この男を殺すのは、私だ』

セルヴィスは凛とした声で、そう言った。
何かが吹っ切れた…そんな声音であるように、狼厳には感じられた。

『何をバカな事を。貴様は今まで、一度も成果を挙げていない。
 それを帳消しにすべく、この男の暗殺を命じたというのに、この始末。
 最早ギルドも、我慢の限界なのだよ。
 だからこそ、俺が派遣されたのだ。
 …そこをどけ。どかぬのなら…貴様も殺すぞ』

『…黙れ。この男は…私の標的だ。邪魔するのであれば…
 たとえ誰であろうと、私が排除する』

『…良かろう。…くく、どのみち、貴様も暗殺対象に含まれている。
 正面から相手にするのは少しばかり手間だが…貴様ごとき、
 俺1人でもどうとでもなろう…』

シン…と静まり返る場。

「…女…お前は…」

『黙っていろ、狼厳。こいつを片付け…貴様の傷が癒えたら、
 次は貴様の番だぞ』

狼厳が声をかけ、セルヴィスがそれに応えた。
それを皮切りに、男が立て続けに数本のナイフを投げる。
セルヴィスもそれに反応し、二本の剣を巧みに操ってそれらを叩き落とした。

しかしセルヴィスも、狼厳を庇っているため
攻勢に転じる事は出来ず…その攻防は、男のナイフが尽きるまで続けられた。

『フン…良かろう。今日を以て、我がギルドは貴様を敵と見なす。
 安寧の日々など過ごせると思うな…我らを敵に回すとは、
 そういうことだ。努々忘れぬことだ…』

男はそう言うと、踵を返して歩き去って行った。
セルヴィスはそれを見送ってから、剣を鞘に収めた。

「…借りが出来たな」

『フン…お互い様だ。…私とて、貴様に命を救われた。…立てるか…?』

「…いや…無理だ。…すまんな…どうも…ナイフに…毒…」

セルヴィスが手を差し伸べる。
が…狼厳はそれを掴む事も出来ず、地に倒れた。
ナイフに毒が塗ってあったのか、気付くと顔が真っ青になっている。

『狼厳!?おい、しっかり――』

セルヴィスのその声を最後に、狼厳の意識は、闇に包まれた…。

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