狼牙志士隊の日誌

イズレーン皇国所属・狼牙志士隊の日誌

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嗚呼、勘違い

今回はちょっとコメディ目指しました。

…難しいな(゚д゚;)






オーラムに移住してから、早くも一年が過ぎた。

新たに設立した支部での仕事もある程度落ち着いてきた正宗は、
趣味である甘味巡りを再開しようと、メイド長であるミリアに頼み、
オーラム国内のスイーツの情報を網羅した雑誌を入手し、
自室で情報収集に勤しんでいた。



【嗚呼、勘違い】



「…ふむ…イズレーンのお菓子も良かったが、オーラムの
 プリンも捨てがたいな…」


マルビタン・マールミネル氏推薦!!などという
文句と共に紹介されているプリンは確かに美味しそうで、
正宗の食指を動かすのに足るものであった。


「…ん?」


そんな折、次のページを捲った正宗の視界に、
ある特集が目に入った。

『今、BLが熱い!』というタイトルの特集。

何気なく目を通していると、何やら線の細い男が、
筋肉質な男に言い寄っているイラストがあったり、
攻守が交代しているイラストがあったりと、
正宗にとっては未知の世界が広がっていた。

好奇心旺盛な正宗は、未知の分野であるそれをじっくりと眺めた後、
ぱたりと本を閉じた。
世の中にはこういう嗜好の人もいるのだな、などと感心していると、
きゅる…と小さくお腹が鳴った。


「…そういえば、そろそろおやつの時間だな…。
 狼厳と一緒に何か食べよう」


現在、元・皇国の士である狼厳を始めとする狼牙志士隊の面々は、
組織・トライアドの長の護衛として、同じ屋敷で暮らしている。
狼厳の部屋はすぐ隣であるし、おやつも大量に常備してあるので、
休憩時間にはそこで狼厳と一緒におやつを堪能するのが、
正宗の日課であった。

いつもの事なので、特にノックする事もなく、正宗は
狼厳の部屋に入った。


「狼厳、おやつ――」


が、そこで彼女が目にした光景は、先程読んだ雑誌を
フラッシュバックさせるものであった。


「…痛…っ。少し、痛むな」

「そうでしょうね…少し、じっとしていて下さい。
 すぐに済ませますので…」


一縷の無駄もなく鍛え上げられた上半身を露にした狼厳と、
その体を触る細身の男。

その男が白衣を着ている事と、狼厳が先日ケイオスクロウの群れと
戦闘を繰り広げた事などを考えれば、普段の正宗ならば
容易にこの光景が何であるかは想像がついただろう。

しかし。


『今、BLが熱い!』

『今、BLが熱い!』

『 今 、 B L が 熱 い ! 』


残念な事に、今の彼女の脳内には、先程見た未知の世界の知識が
鮮明に残っている。

そして、目の前の状況は、あのイラストと余りにも合致していた。
故に彼女は。


「そのまま、散れっ!」


魔力を最大限にまで高め、雷華の一撃を放ったのだった。







「…だから、誤解だと言っているだろう?」


不意打ちだったため、雷華の一撃をまともに受けた狼厳。
それでも辛うじて医師だけは庇えたのが、不幸中の幸いだった。

その後しっかりと手当てを受け、正宗の部屋に移動し、
微かに焦げた後を残しつつ弁明をする狼厳だったが、
正宗は体操座りをして、少し頬を膨らませて視線を逸らしたままだ。

困ったな、というように頭を軽く掻くと、正宗はちらりと
狼厳のほうに視線を向けた。
それに気付き、「どうした?」と声をかけると、
正宗は少し言いにくそうに口を開いた。


「…狼厳は…男を好きになったりしないよな?」

「するかっ!」


何を言い出すのかと思えば、と苦笑して言って、ふと正宗の
足元にある雑誌が目にはいった。
その表紙の隅に小さく、『BL特集』と書かれてあるのを見て、
ようやく合点がいったらしい。

ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべると、正宗の隣に座って、
少し強引に肩をぐいっと抱き寄せた。


「…とんだ勘違いをしたものだな、正宗。
 では、俺がどれだけお前の事しか考えていないかを、
 今からじっくりと教え込んでやるとしよう」


狼厳の意図を察し、抗議しようと開かれた唇は、それよりも早く
重ねられた狼厳の唇によって閉ざされてしまった。

驚きつつも無抵抗になる正宗。
その服に狼厳が手をかけた時、これまた聞き慣れた声が
部屋の中に響いてきた。


「狼厳様ー約束ー!」


パタパタと駆ける音と共に狼厳の部屋に現れたのは、
トライアドに所属しているアルテミスだった。

外見は可愛らしい女性だが、れっきとした男。
俗に言う男の娘というやつである。
本人の意思次第では女性体となる事も可能らしいが、
少なくとも狼厳は見た事がなかった。


「…アルトと、何の約束をしていたんだ、狼厳?」


狼厳から解放された唇が、やや怒気を孕んだ声音で言葉を紡ぐ。
バチバチ、と雷が正宗の体から迸るのが視認出来た。


「あー…タイミング、まずかったですかね?」

「やっぱり…狼厳…」

「いや、待て、誤解――」


アルテミスの手には、正宗が好きな皇国のお菓子の袋。
屋敷を離れるわけにもいかない狼厳が、皇国に出向くという
アルテミスに頼んで買ってきてもらった物だ。

詳しく事情を説明しようとする狼厳だったが。


「問答無用だ!」


それよりも早く、雷華の一撃が再び放たれる。
本日二度目となる雷撃を受けながら、狼厳は、


(今後は正宗に与えられる本は、事前に俺がチェックしよう…)


と決意するのだった。

嗚呼、勘違い。
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