狼牙志士隊の日誌

イズレーン皇国所属・狼牙志士隊の日誌

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とある夏の日

最近あっつい!

という事で、狼厳くんと正宗ちゃんが海に行くSSを書いてみました。
駄文きわまりないです('、3)_ヽ)_




見上げれば、吸い込まれてしまいそうな青空。

燦々と降り注ぐ陽射しを阻む雲もなく、少し動いただけで
体から汗が噴き出てくる。


季節は夏。
特に今年は、例年を上回る猛暑。
例年であれば風物詩として風情を感じる蝉の鳴き声にも、
苛立ちを感じざるを得ないほどだ。


そんな気候の中、人々が向かう場所など、1つしかなかった。

そう…海である。
山派の方もいるだろうが、ここは海としておく。
狼厳と正宗もまた、この暑さから逃れるために
二人で海に訪れていた。


【とある夏の日】



『…凄い人だな』


海に到着するや否や、正宗は驚いたように口を開く。
肌が白く、日焼けに弱い正宗は、夏場はあまり外出しない。
海に来るのも初めての事だ。


「今日は比較的少ないほうだな。さ、では行くか」

『…本当にこの格好でおかしくないのか?』


二人で浜辺に下りる途中、正宗が不安げに狼厳を見る。
今の2人の格好は、互いにラフな格好だが、正宗は下に
水着を着て来ている。
その水着に関して言っているのだろう。


「うむ。楼華やセルヴィスの見立てだし、問題はあるまい。
 俺も似合っていると思うぞ」


狼厳の言葉にも、正宗はやや不安そうだ。
狼厳はその様子に苦笑しつつ、頭にぽんと手を置いて、
優しく頭を撫でた。







ロッカールームに荷物を預け、一足先に出てきた狼厳は、
持参したパラソルとシートを敷いて正宗を待っていた。

無駄なく鍛えられ、所々に傷跡のある肉体を持つ狼厳は
傍から見ると威圧感があるのか、遠慮がちな視線を向けられていた。

もっとも、当人は『サーフパンツにしたから目立たないはずだが…』などと
少し的外れな事を考えていたが。


『…待たせた』


そんな事をしていると、微かなどよめきの後に、正宗の声がした。
声のした方に振り向いた狼厳は、少し驚いたような顔をして、正宗をじっと見る。


(…屋敷で着て見せてもらった時には、ワンピースだったはずだが)


狼厳の記憶通り、以前見た時、正宗は確かに薄いアクアブルーの
ワンピースの水着を着ていた。
それが今、目の前にいるのは、黒いビキニに身を包んだ正宗だった。
年不相応なスタイルが強調され、周囲の視線を集めている。


『…何だ?やはり、どこかおかしいか?』


狼厳の視線に、少し不安になったのだろう、そう尋ねる正宗。
その言葉にハッと我に返ると、狼厳は正宗の頭を撫でた。


「いや、よく似合っている。しかし意外だな。
 てっきり以前のワンピースを着てくるものと思っていたが」

『え?狼厳がこっちのほうが良いって言ったんだろう?』

「…なに?」

『楼華とセルヴィスが言ってたぞ?』


あいつ等は俺を何だと思っているのか。そんな事を内心で呟きつつ、
狼厳は小さく肩を竦めて笑った。


「…そうだったな。予想以上に似合っていたから、
 驚いて記憶が飛んでしまっていた」

『ふん…。それより、これからどうするんだ?
 アイスでも食べるのか?…いや待て、かき氷も捨て難い…』


来て早々、海の家の甘いものに目をつけたらしい正宗。
そんな姿に呆れつつ、狼厳は家を出る前にウォルフガルドに託された
巾着袋を開けた。

中には日焼け止め薬と、怪我をした時のための絆創膏、それから
ゴブ吉の書いた『おみやげりすと』が入っていた。


「その前に、日焼け止めだな。お前は肌が白いから、
 焼けてしまっては大変だぞ。ここにうつ伏せで横になれ、
 背中に塗ってやる」

『日焼け止め…?…分かった』


狼厳が手にした日焼け止めのクリームの瓶を不思議そうに眺める。
恐らく、その存在を知らないのだろう。
それでも横になるあたり、正宗の素直さが表れている。

正宗が横になったのを確認すると、狼厳は正宗の水着の背の結び目を解いた。
突然のことに、正宗は驚いて顔だけ狼厳の方を向いた。


『…何をしている?』


そして、顔を赤くしながら物凄い形相で睨み付ける。
だが狼厳は平然としたまま、背中に手を這わせた。


『冷たい…』

「日焼け止めだからな。これを塗らないと、日に焼けてしまう。
 お前は多分水ぶくれになるだろうから、しっかり塗らないとな」

『…そうならそう言え、バカ。突然解くやつがあるか』

「ん…?…ああ。何を言っているのかと思えば。
 別に今更恥ずかしがる事はあるまい?」

『そういう問題では…はぁ、もう良い。
 塗るのならしっかり頼むぞ』


なおも反論を試みた正宗だったが、無駄だと諦めたのか、
そのまま大人しく狼厳に身を任せた。





全身に隈なく日焼け止めを塗り終えると、2人はまず
アイスクリームを食べてから海に向かった。

やはりと言うべきか、特に男からの視線は正宗に集中していた。
狼厳が隣にいるのでナンパなどはなかったが、もしいなければ
声をかける輩は多かっただろう。

本人はそんな視線など気にも留めずに、初めて見る波に驚きを見せていた。


『これが波か…。自宅のプールでは起こらないから、新鮮だな』

「あまり遠くまで行くなよ。奥に行けば行くほど深くなるからな」

『ほう…』


狼厳の言葉に、正宗の目がきらりと光った。
正宗は意外と好奇心が旺盛だ。
冷静沈着に見えるが、自分の知らない事や興味を引く事があると、
狼厳の制止を振り切って行動する事がある。


『あ、狼厳さん!』


正宗の様子に不安を覚えた狼厳は、再度念を押しておこうと
正宗のほうに歩み寄ろうとする。
が、それより早く、見知った声に呼び止められ、そちらを振り向いた。


「おや、カナデ殿か。どうし……レナ殿か?」


どうしたのか、と問おうと思ったが、彼女の泣きそうな顔を見て
すぐに察しがついた。
思えば彼女と遭遇する時、彼女は大抵お馴染みの“探し物”をしていた。


『はいー…見かけませんでしたか?』

「俺は見かけていないな…ここに来る途中も見かけなかったぞ」

『そうですか…。どこに行っちゃったんだろう。
 呼び止めてしまってすいません。失礼しますね』

「ああ。俺も見かけたらカナデ殿が探していたと伝えておく。
 …いつもご苦労様」

『ありがとうございます…。レナー!どこー!?』


騒々しく立ち去るカナデの背を、大変そうだな…と思いながら見送る狼厳。
そして、自分も目を離してはいけない相手と共にいたのだと思い出し、
先程まで正宗がいた場所を見る。

予想通りと言うか、いない。
いや、いるにはいるのだが、海の中に入って興味深そうに
奥のほうに向かって進んでいた。


「正宗、あまり奥へ行くな、危ないぞ!」


その後を追って海に入りながら、正宗に声をかける。


『凄いな、狼厳!もう足がつかなくなった。
 海というのは、こんなに深いものなんだな…。
 知識としては知っていたが…』


だが、狼厳の言葉は耳に届かないようだ。
今は初めての海への興味が勝っていて、それどころではないのだろう。

とはいえ、泳ぐのは狼厳のほうが早いし、正宗は辺りを見回しながら泳いでいる。
後少しで追いつく…そんな距離にまで迫った時。
少し大きな波が2人を襲った。


「ぷは…っ。ふう、どうにか飲まずに済んだか…」


とはいえ、溺れてしまうというような、大きな波ではない。
それこそ海の悪戯と言って片付けてしまえる規模のものだ。

狼厳は濡れた髪を掻き上げて、目に入らないようにしながら
正宗のほうを見る。
すると彼女は、肩まで海の中に入って俯いていた。


「どうした?」


狼厳が立ち泳ぎで近くによると、正宗は困惑した顔で狼厳を見た。


『…水着が流された』

「…なに?」


正宗の言葉に、自然と下に視線を向ける。
本来包み隠しているべき黒い布が姿を消し、代わりに
正宗の白い腕が、その胸を覆い隠しているだけだった。


『…見るな』

「…と、すまん。…とりあえず、俺の上着を取ってこよう。
 足がつく場所で、かつ人気のない場所で待っていろ」

『わ、分かった』


狼厳はそう指示すると、急いで自分の上着を取りに戻った。
道中、正宗が何処に向かっているか、近くに人がいないかを
念入りに確認したのは言うまでもない。


「…まぁ、こういうのも、旅の良い思い出…か」


上着を手に取った狼厳は、そう呟きながら、岩場の陰で待つ
正宗の元に駆け足で戻った。







その翌日。
屋敷に戻った2人を真っ先に出迎えたのは、同居ゴブリンのゴブ吉だった。
目をキラキラと輝かせ、2人を見て口を開く。


『2人とも、おかえりごぶー!おみやげ買ってきてくれたごぶ?』

『「…あ」』





そして、2人は旅行から帰ったその足で、今度はゴブ吉を伴って
甘味処巡りをすることになった。

そんな他愛のない、とある夏の日。
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