狼牙志士隊の日誌

イズレーン皇国所属・狼牙志士隊の日誌

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こわいもの

【こわいもの】


「…大丈夫か、正宗?」

『何のことだ。大丈夫に決まっているだろう』


そう答える彼女の手は、恐怖もあるのだろう、少し震えている。
気丈に振舞ってはいるが、時折小さく体を震わせては、
そのたびに何かを堪えるようにキュッと瞳を閉じる。

俺は小さく肩を竦めて笑ってから、ぎゅっと彼女の小さな体を抱きしめた。
いまだ夜は冷えるが、こうして2人で同じ布団に入っていると
暖かいものだな、などと、震える正宗を宥めつつ俺は考えていた。




『…大体、こんな時期に何故あんなのがあるんだ!』


ああいうのは夏が定番だろうと、俺の腕の中で正宗がぼやく。
…そう、今彼女が震えているのは、買ってきた雑誌を読んでいた際、
たまたま目に入ってしまった心霊写真が原因だ。

それがまた、俺が見ても少し何か感じるほど鮮明だったから、
そういうものが苦手な正宗の反応は、推して知るべしである。


「ああいうのが好きな人にとっては、年中でも需要があるだろうからな…」

『うー…』


苦笑いを浮かべて言う俺を、正宗がじろりと睨む。
その頭をぽんぽんと撫でてやりながら、どうしたものかと
しばし考えを巡らせた。

この様子では、正宗は当分寝付けないだろう。
しかし、睡眠不足は健康と美容の大敵だと聞く。
正宗の肌が荒れたりするのは、個人的に嫌だ。
どうにかして眠ってほしいところだが…。


「…そうだ」

『…?』


ふと、邪な考えが俺の頭をよぎる。
その事を知らない正宗は、突然声をあげた俺に
怪訝そうな顔を向けた。

ニヤリと笑って、正宗の唇を奪う。
突然の事に顔を朱色に染める正宗の耳元に、そっと顔を寄せる。


「怖くて眠れないのなら、その怖さを、他のことで忘れさせてやろう。
 そうすれば、そのうち眠れるだろうさ」

『なっ…!?おい、ちょっと待て、狼が―』

抗議しようとする口を口付けで塞ぎ、抱き締める腕に
ほんの少しだけ力を込める。
そうしているうちに、いつの間にか正宗の体の震えは治まっていた。





そして、翌日。
偶然遊びに来たらしい、正宗専属のメイドであるミリアの金切り声で、
俺は叩き起こされたのだった。

ちらりと隣を見ると、昨日までの不安そうな顔ではなく、
心地良さそうに眠っている正宗の顔があり、穏やかな気持ちに
なるのを感じながら、ミリアに応戦する。

こうした些細な日常を楽しめる毎日を、幸せと呼ぶのだろうな。
そんな事を、考えさせられた出来事だった。
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