狼牙志士隊の日誌

イズレーン皇国所属・狼牙志士隊の日誌

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ボクと私

久々にSSなどを(゚д゚)

狼厳・正宗であります!
折りたたみー!
出演許可ありがとうございます(`・ω・´)



ヴァルトリエ帝国の、一見普通の屋敷。
しかし、周囲は厳重に警戒されており、
イズレーン皇国では目にする事もないような、
機械仕掛けの兵士も配備されている。

そんな屋敷の、その中でも最も警備の厳重な部屋に、狼厳はいた。


【ボクと私】


『一週間ほど、里帰りしてくる』


正宗がそう切り出したのが、2日前のことだ。
当初は楼華やセルヴィスなどが、狼厳が何かやらかしたのかなどと、
本人にとっては失礼千万な物言いをしたものだが、
事情を深く聞けば、単に組織の仕事が滞りつつあるからだ、との事。


正宗の組織。
それは、所謂『汚れ仕事』を引き受ける、闇の組織。
イズレーンで言うところの、彌陰衆のようなものだ。

諜報や情報操作を主とし、暗殺や破壊工作は稀である
彌陰衆とは異なって、実力行使も辞さない組織なので、
こちらのほうがより武闘派と言えるかも知れない。

一般市民などに手出しをせず、その力は主に汚職や圧政など、
腐敗した役人などに用いられる事が多いため、裏の世界には
広く知れ渡っている組織だ。


『…分かった、その件は任せる。ボクの委任状を渡そう。
 それを見せて手勢を集めて、確実に証拠を押さえるんだ』


正宗はてきぱきと、見事なくらいに的確に、配下の黒服に指示を飛ばす。
狼厳はソファに腰掛け、正宗専属のメイド長から出された珈琲を飲みながら、
その様子を興味深そうに眺めていた。


『…何だ、何か用でもあるのか?』

「いや、すまない。気にしないでくれ」


仕事時の冷淡な口調でそう尋ねられ、狼厳は軽く片手を上げて答える。
あまり見つめていても仕事がしにくいだろう。
そう考えて狼厳は、飲んでいた珈琲に視線を落とした。


(…毒などは盛られていないようで、一安心だな)


正宗を崇拝するメイド長の出した珈琲だ。
彼女を毒牙にかけた(メイド長談)狼厳に毒を盛っても、
何ら不思議はない。

事実珈琲を出す時にも、メイド長は狼厳を親の仇でも
見るような目で睨み付けていた。


(まあ、あいつが正宗が悲しむような事をするとも思えぬが)


自惚れでも何でもなく、狼厳は自分が死ねば正宗が悲しむと確信している。
以前天羽々斬を手にした後に入院した時も、泣きそうな顔をしていた。
それ以来狼厳は、無茶な戦い方をする事が少なくなっていた。


珈琲を飲み終え、機械仕掛けの時計が時を刻む音を聞きながら
のんびりしていると、ようやく正宗の仕事が一段落したようだった。
ふぅ、と小さく息を吐く正宗に、狼厳が声をかける。


「お疲れ様。大変だったようだな」

『仕方ないさ。ワガママを言ったのは私だからな。
 姉様だけに任せておくわけにはいかない』


そう言ってようやく、微かに表情を崩しながら、
正宗は狼厳の隣に腰掛けて小さく背伸びをした。


『それにしても、狼厳こそ務めがあったんじゃないか?
 ついてきて平気だったのか?』

「ああ、俺の方は問題ない。事務処理は楼華がやってくれるそうだし、
 防衛任務などは俺よりも爺様やセルヴィスのほうが得手だからな」

『そうか』


そう言うと、正宗は疲れ果てた様子で、狼厳の肩に
頭をぽすんと乗せた。
月やリベラルがいかに有能といえど、トップである正宗が
留守にしていると滞る仕事もあるのだろう。

にも関わらず、正宗がイズレーンに来る事に同意してくれた
月やリベラルに感謝しながら、狼厳は正宗の頭を撫でた。
それに甘えるように目を細める彼女を見ながら、ふと
常々疑問に思っていたことを口にする。


「…なぁ、正宗。何故人前だと『ボク』というんだ?」

『ん…そうだな。私は幼い頃に組織を継ぐ事になっただろう?
 当然組織の中には、幼い女に使われるのを快く思わない者も多かった。
 だから少しでも威厳を保とうと思って、ボクと言うようにしたんだ』

「なるほど」


そうした組織の柵というのは、狼厳とて経験した事がある。
能力の有無に関わらず、性別や年齢、生まれや思想で
人々から疎まれる事など、数知れない。

ボクと、私。
それを使い分ける事で、正宗は自分を保ってきたのだろう。

(…しっかりしているように見えるが、まだ15歳だからな…)


幼い彼女がしてきた苦労や心労を思うと、胸が痛む。
狼厳は、自分がこの少女にどれほど心惹かれているのかを
今更ながらに痛感しつつ、そっと額に口付けた。


『…!?』


突然の口付けに、正宗は慌てて体を離し、自身の額を手で
押さえながら、少し赤くなった顔で狼厳を見る。
それを見た狼厳はニヤリと不敵に笑んで、


「これからは、俺がずっと守ってやる」


と言って、今度は彼女の唇を奪う。
それを少し恥らいつつ受け入れ、正宗は自分からも
軽く触れるだけの口付けを返した。


『…私も、狼厳を守ってやる』


意外と負けず嫌いな少女はそう言うと、ぎゅっと
その細い腕を狼厳の背に回した。
狼厳もまた、彼女の背に筋肉質な腕を回し、強く抱きしめる。


…帝国での一夜は、こうして過ぎていった。
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