狼牙志士隊の日誌

イズレーン皇国所属・狼牙志士隊の日誌

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天羽々斬・弐

第二話であります!

この回は狼厳くん出番ありません。
友情出演して頂いております…
違和感などがございましたら訂正させて頂きます(土下座




狼厳がラドゥーンと戦い始める少し前。
レオル率いる部隊は、遠征を手早く切り上げて、
イズレーン皇国への帰路に就いていた。


『胸騒ぎがする』


ヴィンスのその一言が原因である。
彼の嫌な予感は、不思議なくらいよく当たるのだ。



【天羽々斬・弐】



国境を越えてイズレーン領内に戻ったレオル一行。
だが、帰路に就いてからここまでの間、ヴィンスは
口を開こうとしない。

ヴィンスの少し前を歩いていた2人は、そんな彼の
様子を物珍しそうに見ていた。


『…珍しいよね、ヴィンス兄様がここまで考え込むの』


ケルベロスの背に乗っているセリカが、隣を歩くレオルに言う。
小さく頷き、レオルはヴィンスの元に歩み寄った。
普段であればヴィンスの考え事の邪魔などしないのだが、
レオルも何か、表現できない嫌な気配を感じていた。


『何かあったの?』

『……』


だが、ヴィンスは答えない。
答えないのではなく、考え事に集中しているため、
レオルから声をかけられた事に気付いていないのだ。

やはり、おかしい。
レオルはそう考え、ヴィンスの腕をぽんぽんと叩く。
そこでようやく、ヴィンスはレオルに視線を向けた。


『…ん、どした?』

『どした、じゃないよ。
 ヴィンスがそこまで考え込むの、珍しい。
 何か、凄く不吉なことでもあるの?』

『…お前達は、感じねぇか?』


レオルの問い掛けに対し、ヴィンスも問い掛けで返す。
何を…と言おうとして、レオルは微かに感じ取った。
セリカは気付いていない様子だったが、ケルベロスが小さく
唸り声をあげている。


『何か、変な…気配がする』

『そう。イズレーンの魍魎の類とは違う、独特の…
 感じの悪ぃ気だ。しかも、かなりデカい』

『え、そうなの?』


セリカが少し不安そうに尋ねれば、レオルが
大丈夫、と言って頭をぽんと撫でた。
それを見てヴィンスも小さく頷く。


『ここからは結構距離があるみたいだしな。
 今、イズレーンは遠征で手薄になってるとは聞いたが、
 狼牙志士隊は帰還してるはずだ。
 ま、あいつらがいれば何とかなるだろ』

『そっか!なら安心だね』


2人の言葉に安心したのか、セリカの顔に笑顔が戻る。
それを見て小さく頷いてから、レオルがヴィンスに
小声で尋ねた。


『…狼厳達でも厳しい相手かも知れないんだね?』

『お見通しか』


ヴィンスは冷静な男だ。
仮に嫌な予感がしても、狼厳達で大丈夫だと思えば、
無駄にレオルやセリカを不安がらせる事は言わない。

にも関わらず、胸騒ぎを口にした。
それは即ち、狼厳達でも負ける可能性があるという事。
否、むしろその可能性のほうが高いということだ。


『あいつらがそう簡単に負けるとは思わないが、
 念には念だ。俺達も動ける用意はしといたほうが良い』

『そうだね』

『2人とも、何話して…』


2人が何か内緒話をしている事に気付いたセリカが、
声をかけようとするのと同時だった。

何かの咆哮が、聞こえた。
同時に微かに感じる程度だった気配の濃度が、
一気に濃くなる。
ケルベロスも警戒し、牙を剥いた。


『何、これ…!』

『…これは、胸騒ぎってレベルじゃねぇな。
 行くぞ。狼厳達のことだ、もう現地に向かってるだろ』

『うん。セリカ、先に宿舎に…』


レオルとヴィンスが、この異常事態を察して、
現地に向かおうとする。
危険になるだろう、セリカは先に帰らせようと
レオルが声をかけた。

が、セリカは首を横に振った。


『わ、わたしも行く…。
 怖いけど、お兄ちゃん達のこと心配だもん…!』

『危険だよ。セリカを守りながら戦えるか、自信ない』

『でも!』


セリカを危険から遠ざけたいと思うレオルと、
どうしても帰りたくないというセリカ。
意外と強情な2人だ、このまま話しあっても
キリがない。
そう考えたヴィンスが、2人の間に入った。


『言い争ってる暇はないぞ。それに、こっそりついて来られた方が
 守りにくい。セリカ、ついてきて良いが、危なくなったら
 すぐに逃げろよ?』

『うん!』


ヴィンスの言葉に、セリカは満面の笑みで頷く。
レオルは不満そうだったが、これ以上言い争うのは
無駄だと分かっていたのか、押し黙った。







現地に近づくにつれ、気配はどんどん濃くなっていく。
それに伴い感じられる、様々な異変。

草木は枯れ、水は淀み。
鳥や獣達が我先にと逃げ出す様相は、異様の一言では
言い表せないものであった。


『…ひでぇな、これは』


ヴィンスがポツリと呟く。
共に進む2人は、言葉もなく小さく頷いた。
普段のイズレーンを知っているからこそ、この変わりように
動揺を隠せなかったのだ。


『…お兄ちゃん、あそこ…』


暫く進んでいく中で、セリカがふと何かに気付き、そちらを指差した。
レオルとヴィンスがそちらを見ると、そこにも異様な景色があった。


草木が枯れ果てているのに対し、
その場所の草木だけは何故か未だに青々と生い茂っていて。

空には暗雲が立ち込めているはずなのに、その周囲だけは
何故か神々しいほど輝いて見えた。

引き寄せられるように、3人はそちらに歩いていく。
そしてその中央に、レオルの背丈と同じくらい大きさの、
白銀に輝く祠を見つけた。


『…綺麗…』

『何なのかな、ここ…。例の気配の影響をまるで受けてないみたいだけど』

『英霊か何かを祀ってる場所だろうが…視覚的に
 効力があるのを見たのは、初めてだな』


3人が口々にそう言うと、不意に祠が開く。
何事かと身構えた3人の目の前にあったのは、
蒼色の鞘に収められた一振りの刀だった。

厳重にされていたはずの封が、何故か自然と剥がれ…
レオルの足元に、誘われるように落ちる。


『…刀…だよね』


そっとそれを拾い上げて、刀を観察する。
一見すると何の変哲もない、狼厳が愛用しているものと
大差ない刀だ。

ぐっと柄を握り、鞘から引き抜こうとする。


『…あれ、抜けない…』


だが、レオルがいくら力を込めても、刀はビクともしない。
ヴィンスも試してみたが、やはり抜けそうになかった。


『何かしらの霊力が働いてるんだろうな。
 このままにしといて、賊に持ち帰られても厄介だ。
 とりあえず持っていっておこう』

『そうだね。…急ごうか、また少し気配が濃くなった気がする』

『お兄ちゃん、ヴィンス兄様!』


少し離れた所にいたセリカが、少し慌てた様子で2人を呼ぶ。
見ると、セリカの近くには一匹のゴブリンがいた。
ケルベロスがいるのだ、ゴブリンなど相手ではないだろうが、
どうも様子がおかしい。
ケルベロスが警戒していないのだ。


『は、話を聞いて欲しいごぶ!』


どうやらそのゴブリンは、人語を話せるらしかった。
レオル達は何かを知っている様子のゴブリンから、
話を聞く事にした。
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