狼牙志士隊の日誌

イズレーン皇国所属・狼牙志士隊の日誌

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天羽々斬・壱

念願の上級剣を手に入れたので、その嬉しさ余って
SSを書いてみました(゚д゚)

長編になります。
そしてNPCとして、ゴブリン君が出ていたりします。

ちなみに剣の完成はかなり先になりそうです(ぉ




その日のイズレーンは、朝から静かだった。
否、人々の活気は変わらない。
違うのは、英雄達が軒並み遠征に出てしまっている事くらいか。



【天羽々斬・壱】



「…美味いな」


昨夜、他の英雄の皆と入れ違いに遠征を終えた俺達は、
一晩ゆっくりと休んで、馴染みの茶屋でお茶と団子を堪能していた。

留守を頼んでいた爺様は今朝早くに、
昔なじみの店に行くと言ってセフィドへと向かって行った。

今、イズレーンに残っている部隊は俺達くらいだろう。
最近は魍魎も大人しいし、彌陰衆や兵士達も交代で
休暇を取得していると、昨晩ソウマ殿が言っていた。


「そうだな。最近は遠征続きだったし、たまには甘いものでも食べて
 体を休めなくては」

「ここの三色団子も久しぶりな気がしますね…」


セルヴィスと楼華も、遠征中に弱音など吐く事はないが、
やはり疲れていたのだろう。
甘いものを食べて、身も心もリラックスしているようだった。


そろそろ皿が空く。
かわりを頼むか?と楼華に尋ねようとした、その時だった。


「…!!」


異質にして、異常なほどに強大な気配。
先程まで晴れ渡っていたはずの空が、次第に暗雲に包まれていく。
無意識のうちに、俺は光明之太刀に手をかけていた。


「…狼厳さん…」「狼厳」


2人も、この気配を察したようだ。

いや…2人だけではない。

先程まで陽気に笑っていた茶屋の女将も、道を歩いていた人々も、
恐らく今この国にいる皆が、この異質な気配を感じ取っている。


「…俺は先に様子を見に行く。恐らく…人喰の洞穴の方角だろう。
 お前達は武具の用意をしてから来てくれ」


2人は休暇とあって私服だ。
俺は何となく胸騒ぎがしたので、武装してきている。
このほうが最近では落ち着くというのも、理由の1つではあったが。


「わかりました。…けれど、無茶はなさらないで下さいね?」

「私達が行くまでは、深入りはするな。この気配…只事ではないぞ」


駆け足で屋敷に向かう2人を見送ってから、
俺は人喰の洞穴の方角に向かって走り出した。



人喰の洞穴。

イズレーン皇国の東端にある、一般人の立ち入りが禁じられている洞穴。
大昔に封印された禍神が眠っていると噂されるが、
刻碑暦500年頃に暴れ回っていたと文献にある以外、
目撃者も、それを語る資料もない。

今では都市伝説と考えられているが、それでも不安がる者は多い。
中でも、その洞穴の近くにある『御供の里』の人々は気が気ではない。


俺達も少し前、人里に悪戯しに現れるゴブリンを懲らしめて欲しいと
依頼を受けた際、ついでだからとその近辺も調査したのだが、
特に異変は見られなかった。


(…ならば、この気配は一体…)


そう考えながら走っていると、御供の里を抜けた辺りで、
何者かが俺の膝に勢い良くぶつかった。


『ごぶ!?』


見ると、2mは蹴飛ばしてしまっただろうか、小柄な何かが
大の字になって地面に倒れていた。


「お前は…」


それは、以前の任務で懲らしめたゴブリンだった。
ゴブリンでありながら人語を理解し、知性を持った珍しい子だ。
人里に来たのも、単に人間の友達が欲しかったからだと言っていた。

洞穴に帰す際、他のゴブリンと区別が出来るように楼華が作った
ペンダントを着けているから、まず間違いない。


『ろ、ろーがん!この先、ダメごぶ!危ないごぶ!』


強打したらしい額を押さえながら立ち上がると、ゴブリンは
何やら身振り手振りで俺に危険を伝えようとしている。


「落ち着け。何があった?この妖気は何事だ?」


そう尋ねてから、俺は周囲の異変に気づいた。
草木が、枯れかけている。
今の季節ならば、まだ青々としているはずなのだが。


『…洞穴の奥、主様がいたごぶ。
 ずっと眠ってたけど、この前目覚めたごぶ!
 洞穴の中の皆、食われちゃったごぶ…。
 主様、エサを求めて外に出てくるごぶ…!』


ふと里のほうに目をやれば、人々が慌しく荷物をまとめている。
恐らく、こいつが伝えたのだろう。


「成程。しかし、そのような危険な化け物を
 放置しておくわけにもいかない。お前は避難する人々を
 案内してやってくれ。俺は様子を見て…」


そう言いかけた時だった。
強力爆弾でも破裂したかのような豪快な音がして、
この先にあったはずの山が崩落した。


続いて響く、天を裂くような、おぞましい咆哮。


「…なん…だ…あの、化け物は…!?」


土埃が晴れて現れたのは、山と見紛うほどの巨体。
先程の咆哮は、その巨体から生える8本の首だろう。
その一本一本が竜と似た姿をしており、
獲物を求めて赤い目をギョロギョロと動かしている。


禍神・ラドゥーン。

以前俺が読んだ大昔の文献は、どうやら史実だったらしい。
周囲の霊力をも食らっているのか、奴が現れてから、
草木が見る見る間に枯れ果てていく。
こうして対峙しているだけで、俺の体力も奪われている気がする。


『ひ、ひぃ…ぬ、主様ごぶ…!ろ、ろーがん、早く逃げるごぶ!』


俺の足をゴブリンが引っ張る。
生まれて初めて、逃げ出したいと思った。

だが。


「…俺は奴を食い止める。ゴブリン、お前は皆を誘導してくれ」

『戦うつもりごぶ!?無理ごぶ、死んじゃうごぶ!』

「皆が避難する時間を稼ぐだけだ。それに、じき楼華達が
 援軍を連れて来てくれる。それまでの辛抱だ」

『…!ぐぬぬぬ…仕方ないごぶ…な、なら、これを使うごぶ!
 逃げ出す前に持ってきた宝物ごぶ!』


そう言ってゴブリンが差し出したのは、HPポーション。
傷をたちどころに癒してくれる霊薬だ。
それが4つ。この化け物を相手に立ち回るには、有難い代物だ。


「恩に着る。…この礼は帰ってから必ず」

『約束ごぶ!死んだらころしてやるごぶ!』


そう言って、ゴブリンは俺が頼んだとおり、皆を誘導するべく里に向けて
駆けて行った。
俺は光明之太刀を抜き、上段に構え…ラドゥーンに向けて名乗りを上げる。


「我が名は狼厳!禍神よ、ここを通りたくば、俺を倒してからにしろ!」


8本の首の、16の赤い目が、一斉にこちらに向けられる。
吐き気を催すほどの強烈な殺気と霊力に中てられながら、
俺はラドゥーンの巨体に、刀を振り下ろした…。
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Comment

NoTitle 

死んだら殺してやるごぶwww
ゴブリン可愛すぎる。飼いたい(←)

上級剣の完成を楽しみにしておりますのようへへ。
続き待機っ!待機です!
  • posted by X 
  • URL 
  • 2013.09/14 21:52分 
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  • [Res]

NoTitle 

X殿>
ふふふ、可愛かろう(゚д゚)(ドヤァ
前期ダンジョンの10Fでゴブリン兵士と会って、
迷子なのかなーとか想像したらゴブリンが可愛く見えた
結果の産物であります!

頑張りますですよ!
次はお話させて頂いた回であります…!
  • posted by 狸侍 
  • URL 
  • 2013.09/14 22:48分 
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NoTitle 

このゴブリン可愛すぎてお友達になりたいんですが、
どこに行けば会えますか!か!

そしてこの後の展開も楽しみなので、
再び正座待機なのです(`・ω・´)
  • posted by 春風 
  • URL 
  • 2013.09/15 17:59分 
  • [Edit]
  • [Res]

NoTitle 

春風殿>
ふふふ、このゴブリン君はそのうち
今後どうなるかが明らかになると思われます!(´・ω・`)

ちまちまと書いていっておりますですよ!
そろそろ第二話投下しましょう(ゴロン
  • posted by 狸侍 
  • URL 
  • 2013.09/15 18:24分 
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